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2020.04.13

群馬_草津温泉 月洲屋旅館



「こりゃ、すごい。」

近代的なコンクリート製の建物が建ち並ぶ温泉街で、時代錯誤を感じるレトロな外観。
重い雪に覆われながら、ひたむきに建つ木造の家屋に心を奪われ、カメラを持ったまま数分間見惚れていました。
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※2008年撮影


今から12年前、体調を崩し草津に一人湯治に来た時、偶然通りかかった宿を撮ったものです。
必ずいつか来ようと、忘れたくないので写真に残しました。


そして、12年後の2020年・・・


ついに念願の月洲屋さんを伺うことができました。
『よく来てくださいました。どうぞ、良かったら入っていってください。』
玄関から応対してくださったのは、白髪交じりの優しそうなご主人。
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※2020年撮影


明治時代、楽焼・骨董の店として創業された月洲屋さん、昭和に入ってご主人のお母さまが湯治宿を始められ、以来、お独りでこの宿を支えて来られたのだそう。『お店を始める度に増築され、今ではこの家屋、明治・大正・昭和それぞれの時代に作られた3つの棟で出来てるんですよ。もういつ壊れるんだか・・・ギリギリですね(笑)』と、微笑みながらご主人。ご先祖から受け継いだ尊い家屋・・・ご主人の話を聞けば聞くほど私にとって傾いた廊下1つもが貴重な物に感じます。
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※全室わずか5室の畳部屋。客室は昭和建築で一番新しい。



ご主人のお母さまが造られた『ひのきの湯』は食堂から細い廊下を入った先にありました。ガラスのドアに直接、筆で『ひのきの湯』とだけ書かれているだけ。お風呂かどうか分からないぐらい‟さりげなく”在りました。
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【ひのきの湯】
♡♡す、す、すばらしい浴室♡♡
どう表現していいか適切な言葉が見つからないですが、私が入った「草津の湯」の中で、「文化遺産部門」があったら絶対ノミネートしてるだろうなという、とにかく、黒ずんだ柱の色、半地下の造り・・・1つ1つから歴史が伝わります。
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お湯は地蔵源泉の引き湯ですが、少し前に入った(同じ源泉の)共同浴場の地蔵源泉と明らかに鮮度が異なりました。色はクリアーな透明色で底には真っ白の湯の花が積もっています。湯船に腰を掛けると粉雪のように湯の花が舞い散り、それはもう、見ているだけで贅沢でした。一定時間人が浸かっていない草津の湯は、私が想像するより透明度が高く美しい✨
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※源泉:地蔵源泉、泉温:48、4℃、pH:2.1、泉質:酸性・含硫黄ーアルミニウム・硫酸塩・塩化物泉


私が浸かっている湯船で46℃、もう1つの湯船で42℃ぐらいでした。正直言うと熱い湯が苦手で、これまで44℃が限界だと思いこんでいたのですが、この浴室とお湯の有難さに感覚が麻痺したのか、暫く笑顔で入浴してました。後で見たら下半身が真っ赤人間やれば出来るもんだ。
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「草津温泉」という大規模温泉地で一人、誰にも邪魔されることなく、歴史の湯に浸かれる奇跡ですよ。これほど有難い時間はあるだろうか?どんな高級旅館の個室貸し切り風呂よりも、1泊3000円の勉強の宿の湯が私にとっては極上である!
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ありがたや~(*ノωノ)
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お風呂あがりに話した常連さんによると、
草津で自炊できる素泊まり宿は残り、僅かなんだそう。

月洲屋のご主人は『わたしが営業できなくなったらこの宿も休業ですね。』って、サラッと話されていたけど、(そうか、そうやって歴史のある湯治場が数少なくなってきているんだのも現状なんだなぁ)と、痛感。

久々に訪れた「草津温泉」には、初めて見る新しい旅館さんや、食べ物屋さんが建ち並び相変わらず活気にあふれていましたが、

それらの近代的な店舗と共に、月洲屋さんのような昔ながらの素泊まり自炊宿が共存する・・・

名湯「草津温泉」は、そんな温泉街であって欲しい。
そんなことを思いました。



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平和な日々が戻りますように。

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「草津温泉 月洲屋旅館」
住所:群馬県吾妻郡草津町大字草津303
電話:0279-88-3341
料金:1泊3000円/人(1人泊の場合)※3泊以上
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Posted at 12:23 | 群馬の温泉 | COM(5) | TB(0) |